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寒さも徐々に和らいできましたが、元気にトレーニングに励んでいるでしょうか。例年であればロードレース大会などのシーズンですが、今年はコロナの影響により多くの大会が中止となっていると思います。こんな時こそ鍛錬期と考えて、トレーニングに取り組んではいかがでしょうか。

さて、今回は長距離走のトレーニングによって得られる生理的変化についてお話ししましょう。 身体の中では心臓、血液、筋肉など様々な部位で変化が現れます。漠然と走るよりも理解して行うと日々のトレーニングもやる気が高まること間違いなしです。

心拍出量の増加

当然ですが、走っている時は、身体を動かすためのエネルギーを必要とします。 特に長距離走は短距離と違って強度が低いため、そのエネルギーは酸素を利用した供給方法を主としています。走行中に息が上がるのは、その酸素の利用と利用後の二酸化炭素を排出しているからです。速度が高まればより多くの酸素が必要となりますので、呼吸数を増やして酸素を肺に取り込んで血液へ送ります。それを筋肉へ送るために心臓を活発に働かせます。一連の機能の働きによって心拍数を増やしてエネルギーを供給しているのです。持久的なトレーニングを長期間行うと、これまでのよりも楽にできるようになるのは、心拍を重ねていくにつれて心筋が強化されて、1回での拍出量が増加して末梢へより多くの血液を送れるようになるからです。 心拍数が高いままだと心臓へ負担をかけるため軽減させる適応反応といえます。

血液量と赤血球の増加

血液には、赤血球、白血球、血小板といった細胞成分が45%存在しますが、それらを除く成分は液体成分である血漿で構成されています。酸素は赤血球の中のヘモグロビンに結合して運ばれますが、この血漿の中にも酸素が含まれており、身体の機能維持や運動において必要な酸素供給をしています。持久的なトレーニングを継続していくと血液全体の量が増えていき、より多くの酸素を筋肉へ運べるようになります。

運動によるたんぱく質の分解と合成

毛細血管密度の増加

動脈と静脈をつなぐ毛細血管は、酸素、二酸化炭素、熱、栄養の交換が行われる部位です。 非常に細かな血管ですが、実は全身の血管の99パーセントを占めるほどです。トレーニングをしていくとその密度はさらに高まります。特に筋周囲の密度が高まることによって筋へ酸素を送るのが容易になり、エネルギー産生が増加します。すなわちそれによって持久力が向上する仕組みです。毛細血管密度と最大酸素摂取量(持久力の指標、酸素を取り込める最大値)の関係には正の相関関係があります。

ミトコンドリアの大きさと数の増加

筋肉は大きく分けて速筋線維と遅筋線維の二種類の筋線維に大別されます。長距離選手にとって重要な筋肉は遅筋線維です。 その筋線維に多く存在する細胞の小器官であるミトコンドリアはエネルギー産生の工場と言われており、酸素を取り込んで脂肪や糖を分解してエネルギーを産生する役割を担っています。持久性のトレーニングによって遅筋線維のミトコンドリアのサイズが大きくなったり、数が増加していきます。競技力が高い人はこのミトコンドリアの数が多い傾向にあります。

ミトコンドリアの大きさと数の増加

このように身体の中ではトレーニングでの刺激によって走るために重要な生理的変化が様々な形で起きていきます。 しかし、残念ながら養った能力はトレーニングを止めてしまうと また元の状態に戻ってしまいます。持久力の維持、向上には継続は欠かせません。 「継続は力なり」 を念頭にトレーニングを継続していきましょう。

    

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