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前回は、高地トレーニングについてお話ししました。 世界でトップの選手の人たちや実業団選手が関心を持って行なっている高地トレーニングですが、高地環境に慣れるためにはかなりの期間を要することやデメリットもいくつかあります。今回は一般の方にも取り入れることができる短期的な高地トレーニングの方法をご紹介いたします。

トップの選手らが行っているような高地環境で長期間滞在するトレーニング方法は、現実的に行うことは難しいでしょう。費用も掛かりますし逆に貧血や体調不良になる人も数多く見られるなど、デメリットが多いのが実際のところです。

そこで、短期間の滞在でトレーニングを行う方法をお勧めします。これは、1970年ころから研究されているエビデンスがある方法です。その研究では、短期間の高地トレーニングを行い、 同じ期間ほど平地へ戻りトレーニングを行うような組み合わせで、繰り返し行います。この研究では高地での効果は平地に戻っても消失しないことや高地でのパフォーマンスは繰り返し行うことで促進されることが報告されました。その後も1300mから1600mなどの準高地において、3日から4日くらいの短期的な高地トレーニングだけでも効果ができるといった報告もあります。

高地で短期滞在してトレーニングを行い、平地に降りてトレーニングを行うことを数回繰り返す

このような短期滞在でのトレーニングでは、具体的な効果として、ヘモグロビンのなど血液性状には増加や変化がみられないものの、血中乳酸濃度の低下が期待されます。乳酸は持久性の競技では少ないほうが競技には有利となるため 指標となる重要な因子の一つです。簡単に言えば疲れずに運動が維持できる能力、つまり持久力が高まります。

トレーニングによる乳酸産生の変化

また、近年ではテクノロジーの進化とともに人工的に低酸素環境を作り、トレッドミルやエアロバイクを使ってトレーニングする方法があり、最近では多くのスポーツジムでも取り入れています。低酸素環境下でのトレーニングも高地環境と重なる効果が期待できるのが理由です。これらは、高地トレーニングでのデメリットの一つである高地に長期間滞在すると大きなストレスを受けて疲労が蓄積して返って運動能力が下がるというようなことを回避できますし、一時的な低酸素環境でトレーニングをして、通常の生活による常酸素での疲労回復をし、トレーニングを安全、確実に進められるメリットがあります。上述した高地環境に対しての事前準備としても効果的で、身体に急激なストレスをかけないためにも良い方法です。

日頃行なっているトレーニングに追加し、低酸素環境でのトレーニングや休暇を利用した3日から4日間の短期的な高地トレーニング実際に行なっていかがでしょうか。これから暑い時期に涼しい環境を求めて、自身の能力改善のためにも新しい刺激はとてもいいと思います。是非試してください。

      

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