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腸内環境を整えて不調を遠ざけ、活き活きした毎日を送りましょう。

健康は“お腹”から!
体と心を整える腸活のすすめ

聞こえにくさ

かつて腸は、単に食べ物を消化し排泄する臓器ととらえられていましたが、近年の研究で全身の健康に大きな影響を及ぼすことがわかってきました。腸内環境を整えて不調を遠ざけ、活き活きした毎日を送りましょう。

腸を整えれば、良いことがたくさん!

ヒトの腸管、主に大腸には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しており、その集まりを腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)や腸内フローラと称しています。腸内細菌は互いに影響を及ぼし合いながら、私たちが食事でとる栄養素を代謝して、さまざまな物質をつくりだしています。
腸内細菌は体に良い影響を及ぼす善玉菌(有用菌)、悪い影響を及ぼす悪玉菌(有害菌)、どちらでもない日和見菌(中間の菌)に大別されると言われますが、その種類や割合は個人によって大きく異なるうえ、食事をはじめとする生活習慣などの要因にも影響を受けるとされています。
人間には病原体から体を守る免疫システムが備わっており、中でも腸は、免疫を担う重要な臓器の一つと言われています。善玉菌が優勢になり腸が整っていると、免疫機能が高まり感染症にかかりにくくなったり、発がん性をもつ腐敗物質がつくられにくくなる良好な腸内環境がつくられます。また、善玉菌は腸内でビタミン(B群、K、葉酸など)をつくります。一方、腸内細菌は肥満や糖尿病、動脈硬化、大腸がんなどの疾患と密接な関係があるとされ、さらに近年の研究では、精神疾患や脳機能との関連が示唆される報告も出されています。
このように、腸内環境を良くすることは心身にとって多くのプラスをもたらすと考えられているのです。

<悪玉菌が増える主な要因>

□ 脂質やたんぱく質が中心の食事
□ ストレス
□ 便秘

脂質やたんぱく質は体に必要な栄養素ですが、多く摂りすぎると腸内環境悪化の要因になります。また、緊張や不安で下痢や便秘、腹痛を起こしやすくなるといったように、ストレスは腸の働きと深い関係があります。便秘は便が大腸に長時間とどまるため腐敗物質がつくられやすいとされています。

腸内環境の健康度は便でわかる

善玉菌が優位な腸では、乳酸や酪酸などの酸が十分につくられて腸内が酸性になり、悪玉菌の増殖を抑え腸の運動が活発になります。このとき便の色も酸の影響で黄色っぽくなります。毎回の排便状態をチェックすることが、“腸活”の第一歩といえます。

<チェック項目>

□ 色:黄色~黄色がかった褐色
□ におい:におうが、あまり臭くない
□ 形状:やわらかいバナナ状

善玉菌を増やし、育てる
2つの「バイオティクス」で腸活を

腸内環境を整えるには、体に良い影響を及ぼす善玉菌を増やし元気にすることが重要です。そのために2つの「バイオティクス」を心がけると良いでしょう。
一つは、「プロバイオティクス」。これは食品からビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を直接摂る方法です。納豆やぬか漬け、ヨーグルトや乳酸菌飲料などの、いわゆる発酵食品に多く含まれています。
これらの菌は、大腸に達する前に死んでしまうなどで、定着することはないとされていますが、死んでしまっても腸内の善玉菌にその成分が有効活用されることが期待できます。
もう一つは「プレバイオティクス」。これは腸内に存在する善玉菌を増やすなど良い効果をもたらす成分で、野菜類や豆類、果物類などに多く含まれているオリゴ糖や食物繊維が挙げられます。消化・吸収されずに大腸まで達し、善玉菌がこれをエサとして取り込むとされています。

基本的な表の作成
プロバイオティクス プレバイオティクス
健康に有用な作用をもたらす生きた菌 腸内の善玉菌を増やし、働きやすい環境に整える成分
乳酸菌やビフィズス菌を含む食品発酵食品 など オリゴ糖、食物繊維 など

<腸活に良い食品>

□ 発酵食品:納豆、ぬか漬け、味噌、梅干し、キムチ、ヨーグルト、チーズなど
□オリゴ糖を多く含む食品:大豆、たまねぎ、ごぼう、にんにく、バナナなど
□食物繊維:野菜類、海藻類、きのこ類、豆類、穀類など

※一度に多くの量を摂ると、下痢や腹痛などを起こす場合があります。

便秘は腸活の妨げに
生活リズムを整えて

そもそも快便は、快食、快眠と並び健康的な生活を支える三原則と言われています。便秘解消の基本は生活リズムを整えること。朝食をきちんと摂ることは胃腸を刺激し、排便反射(便意をもよおし、排便しやすい体の態勢が整うこと)を促すことにつながります。
朝食後にトイレへ行く習慣をつけることも、排便習慣を整えるのには大切です。排便をがまんすることが多いと、便秘が悪化しやすくなります。
なお、食習慣に関しては朝昼晩の一日3食をできるだけ決まった時間に摂ることが勧められます。食べたり食べなかったり、夜遅くなったりすると、消化吸収がスムーズに行われなくなるなど体内リズムが乱れ、排便にも悪影響が出やすくなります。
また、腸の動きを促すためにも適度な運動を心がけましょう。水分補給も、便をやわらかくし排便しやすくする助けになります。

<便秘を予防する生活習慣>

  • 一日3食をできるだけ規則正しく
  • 朝食はきちんと
  • 朝食後にトイレへ行く習慣を
  • 適度な運動と水分補給

【参考】

  • 厚労省 e-ヘルスネット 「腸内細菌と健康」
  • 同上 「便秘と食習慣」
  • Hiroshi KUNUGI  Depressive Disorder, Autistic Spectrum Disorder and Gut Microbiota(腸内細菌学雑誌 32 : 7-13,2018)

記事執筆

福田真由美様プロフィール

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